脂肪移植の手術過程

脂肪移植はすでに定番となった整形手術のひとつですが、どのような手術過程なのかを知らない方もいらっしゃると思います。そこで今日は脂肪移植の手術過程について説明したいと思います。

 

1 脂肪を採取する部位
 “腕から採取したらダメですか?”“お尻は?”“わき腹は?”このように尋ねる方が稀にいらっしゃいます。不可能ではありませんが、お金がもったいないです。私たちの体に脂肪はあらゆるところに分布していますが、その部位ごとに分布している脂肪細胞の大きさは異なります。また顔に移植された時に生着率の一番良い脂肪のある部位は、太ももです。つまり太ももの脂肪が移植されるのがベストといえます。質も良くキメも細かいのです。

時折、脂肪が本当になくてどうしようもない状況の場合には、腹部から摂ったりもしますが、できれば太ももから摂るのが費やす金銭的な部分においても無駄にならない結果となることでしょう。

 

2 太ももから脂肪を摂ると痩せますか?
結論からいいますと、そのような幻想は捨てましょう。もちろん、少しは減るには減りますが、自覚症状があるほどの痩せは見込めませんので、もし本格的に太ももを細くしたいのなら、やはり脂肪吸引が必要です。

普通、顔に脂肪移植をする時、純粋な脂肪は60~70ccくらい必要になります。(個人差によってはより少なくorより多くなる60~70ccほどの純粋な脂肪を作るためには、120~150ccの脂肪を採取する必要があります。これが脂肪吸引となりますと、2000cc~2500ccが普通で、最大では3000ccを抜くこともできます。(※出血と水分不足で死亡することもあり危険です) これで脂肪移植する時に摂る脂肪がどれくらいか、おわかりいただけたと思います。

 

ではここから脂肪移植の手術過程を説明していきたいと思います。

 

1 太ももに局所麻酔剤+止血剤+食塩水を混ぜたものを注入します
注入してから、20~30分待つ時間が必要です。この過程で、脂肪細胞の塊が分離され、注入した液に流れ出し、吸引されやすくなります。一緒に混ぜた止血剤や局所麻酔剤は、吸入過程の出血と痛みを防ぐためのものです。

 

2 陰圧を利用して脂肪を摂りだします
カニューレという脂肪吸引管を通して、陰圧作用で脂肪を吸い取ります。

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3 抜き取った脂肪をシリンジに詰めます

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このように立てておくと分泌物と脂肪の塊とにわかれます。

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写真のようなオレンジに近い濃い黄色の脂肪は、最高に良い状態です。脂肪の質が良ければ、生着率にも良い影響があります。 年齢のいった方や脂肪の状態が良くない場合とは、色がレモン色やもっと白っぽい黄色になります。そのような色の脂肪はとろとろ崩れ脂肪細胞が固まっておらず散らばっています。

 

4 分泌液を除去する
シリンジの下を蓋でふさいでありますが、シリンジを立てておくと脂肪は浮いて、分泌液は下へと沈着します。この蓋を開けると、液が下に流れ出て、脂肪の塊だけが残ります。この分泌液とは、はじめに注入した液体(局所麻酔剤+止血剤+食塩水を混ぜたもの)をいいます。

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5 分泌物を抜いた脂肪の塊を遠心分離器にかけ、純粋な脂肪に分離させます
この過程で、脂肪の油や繊維組織を除去し、純粋な脂肪細胞だけを残します。

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純粋な脂肪に濾過されたものを1ccのシリンジに詰め、施術する顔の部位を消毒し、純粋な脂肪を注入すれば施術は終わります。

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●なぜ1ccの小さなシリンジに少しずつ詰めて注入するのか?
私たちの皮膚は弱いので、一部分に集中して多くの量を注入してしまうと皮膚が破裂してしまうからです。

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●皮膚に注入する時は?
私たちの皮膚は、皮表、真皮、皮下脂肪層、筋膜、骨、といった構造を成していますが、生着を良くさせるために、各各の皮膚層に少しずつ少しずつ注入してあげます。(3つの皮膚層にかけて注入してあげます)

 

●そうするとどう良いのか?
移植した脂肪を生着させるには血管が脂肪細胞の間へ成長して酸素の供給を円滑にしてあげなければなりません。そうしてこそ脂肪細胞が息をしてよく育ち、太ももの脂肪細胞が顔で生きることができます。一度に多くの量を一層にだけ押しこんで入れこむと、密集して血管がきちんと育ちません。そうすると酸素供給が円滑ではなくなり、脂肪細胞は死んでしまいます。死んだ脂肪細胞は皮膚に吸収され、体内へと吸収されますが、それはすなわち脂肪が吸収されて無くなることを意味します。